動物病院を開業して経営を安定させていくためには、新規顧客とリピーターの獲得が欠かせません。そこで行いたいのが、集客です。
ただ、具体的な方法がわからない、実践してみたものの失敗してしまったといった方もいるのではないでしょうか。
そこで、動物病院におすすめの集客方法について紹介します。この記事を読むことによって何を行えば良いのか、どうすれば成功に近づくのかがわかるので、ぜひ参考にしてみてください。
そもそも、なぜ動物病院で集客を行わなければならないのでしょうか。動物病院の集客が重要視される背景として、以下のようなことが挙げられます。
近年は動物病院の数が増加しています。
農林水産省が発表している「飼育動物診療施設の開設届出状況(診療施設数)」を見てみると、平成25年は開設の届出が提出された個人診療施設(小動物、その他)が11,032件でした。
一方、令4年をみてみると12,616件です。
毎年徐々に新しい動物病院が増えている状況となっています。つまり、飼い主の選択肢も増えているわけなので、集客を行わないとライバルの動物病院に顧客を奪われてしまう可能性があるといえるでしょう。
参考:農林水産省:飼育動物診療施設の開設届出状況(診療施設数)
ペット市場が増加しているから動物病院が増えているとはいえません。むしろペットの数は減少しており、市場にも縮小の傾向が見られます。
一般社団法人ペットフード協会の発表によると、犬・猫の飼育頭数や飼育率はほぼ昨年から横ばいとのことです。ですが、犬の飼育頭数を見てみると、2013年には8,714千頭が飼育されていたものが2022年だと7,053千頭まで減っています。
さらに「犬猫 現在の飼育状況_年代別」をみてみると、いずれの年代でも犬飼育率に減少傾向が続いていました。
この先、この傾向がさらに強まってきた場合は、増えてきた動物病院で少ないペットを取り合うような状況になることも考えられます。
参考:(PDF)一般社団法人ペットフード協会:令和4年 全国犬猫飼育実態調査 主要指標サマリー[PDF]
人材確保の難しさに関連した課題もあります。多くの動物病院は獣医師が1人しかおらず、スタッフについても十分な数を確保できているところは少ないです。
動物病院の数は多いので、他院のほうが好条件の求人を出してしまった場合、そちらにスタッフが流れてしまう可能性もあります。
優秀な人材を確保するためにもマーケティングなどを行い、集客することが欠かせません。
動物病院が行える集客には、さまざまな方法があります。特に効果的な方法を解説します。
SEO対策とは、検索エンジン最適化のことです。自院のホームページを作ったとしてもそれだけでは集客につながるといえません。Googleなどの検索エンジンで検索した際、できるだけ検索結果の上位に表示させ、多くの方の目に留まる状態にすることが重要です。
そのために行われるのがSEO対策です。ホームページを作ったもののサイト経由での集客ができていないと感じている場合は、SEO対策が不十分な可能性を疑いましょう。
魅力的なコンテンツを作る、適切な見出しを設定する、ユーザビリティーを高めるなど、さまざまな方法があります。マーケティングの基本として取り組みましょう。
MEO対策とは、Googleマップでの上位表示を目指すための方法です。例えば検索エンジンで「新宿 動物病院」と調べると、地図上に動物病院が並ぶことになります。
この時、SEO対策と同様に上位に表示されれば、それだけ集客につながります。そのための施策がMEO対策であり、地図エンジン最適化です。
飼い主は地域を限定して動物病院を探していることが多いので、MEO対策はぜひとも実施しておきましょう。
近年はSNSを使った集客に力を入れる動物病院が増えてきました。例えば、TwitterやFacebook、Instagramといったものです。
SNSは魅力的な投稿が拡散されるので、うまく拡散されればより多くの方に自院を知ってもらうことができます。
また、写真付きでの投稿ができるので、飼い主から許可を取って自院に通っている動物の写真や動画を掲載することによって、動物好きの方の目に留まりやすくなるはずです。
ペットに関するお役立ち情報を発信すると、参考になる情報の発信元としてフォローしてもらえることも増えます。SNSでうまく自院をアピールできれば来院数の増加にもつながりやすいです。
関連記事:動物病院にはインスタグラムの運用がおすすめ!活用ポイント5選
飼い主の方が動物病院の情報を集める際などに使用するポータルサイトへ情報を掲載するのもおすすめです。動物病院を探している飼い主に効果的にアプローチできます。
ただし、掲載費用が高くついてしまうことから費用対効果がどの程度出ているかについてはよく確認が必要です。コストパフォーマンスが良くないと感じる場合は、その他の集客に切り替えたほうが良いでしょう。
動物病院は地元で探す方が多いため、地域の新規顧客獲得につながりやすいチラシでの集客もおすすめです。ポスティングや、折り込みチラシなどを活用すると良いでしょう。
注意点として、ポスティングや、折り込みチラシはペットを飼っている方のみへの配布が難しいです。そのため、潜在顧客が多く住んでいる地域を見極めて行わないと費用が高くついてしまいます。
例えば、ペット不可のマンションにポスティングをしても新規顧客の獲得にはなかなかつながりません。
できるだけ予算を抑えたいと考えているのであれば、ポスティングや折り込みチラシではなく、ペットショップなどにチラシを置いてもらう方法を選択するのもおすすめです。
口コミを活用した集客方法も効果的です。ただし、良い口コミをしてもらわなければならないので、難しさもあるといえるでしょう。
例えば、自院に通ってくれている顧客に対し、友達紹介をお願いするのも一つの方法です。リピーターの口コミで新規顧客獲得を目指す方法です。一人紹介するにつき割引券をプレゼントするなどの付加サービスを用意すると良いでしょう。
LINEなど、コミュニケーションツールを使用するのもおすすめです。動物病院が気になっているものの、何らかの疑問や不安があって足を運べない方なども一対一で質問をしやすくなります。
また、お役立ち情報の配信もできるので、信頼性を高めるのにも活用できるでしょう。
メルマガもお役立ち情報をお届けするのに役立つツールです。マーケティングにも活用されており、魅力的なメルマガをお届けできれば来院数を増やすこともできます。
ただし、登録者のニーズに応えられる内容にできるように工夫していかなければなりません。
集客の方法を紹介しましたが、成功させるためには他にも押さえておきたいことがあります。ここでは、集客成功のポイントについて解説します。
病院に行く際に信頼できる医師を選びたいと考えるのと同様に、慎重に獣医師の情報を調べた上で動物病院を選んでいる飼い主が多いです。
そのため、ホームページやSNS、チラシなどには獣医師の情報を記載しましょう。経歴や顔写真などを掲載しておくことにより、安心感を持ってもらうことが可能です。
どのようなことを重視して治療に取り組んでいるのかなどもわかりやすく伝えていきましょう。
通常、院内の様子は実際に足を運んでみなければわかりません。ですが、ホームページやSNSなどで院内や設備の情報を公開しておくことにより、初めて来院する方も中の様子がわかりやすくなります。
写真を掲載する際は、清潔感を伝えることが重要です。また、設備を公開する際は、単純に写真だけを掲載するのではなく、何のための設備なのかも伝えることをおすすめします。
最新の設備などを導入している場合は自院にとっての強みにもなるはずなので、しっかりアピールしておきたいところです。
集客で宣伝をするにあたり、動物病院が気をつけておかなければならないのが広告規制に関することです。2014年には獣医療広告ガイドラインと呼ばれるものが改定されました。
動物の命の尊厳を守ることを目的として作られたガイドラインです。
このガイドラインでは、飼い主に誤解を与えるような誇大広告や、関連する表現を禁止しています。テレビやラジオCMのほか、新聞広告、雑誌広告、看板、ポスター、チラシ、DM、インターネット広告が対象です。
ガイドラインによって広告に記載できる内容は厳しく定められています。違反する内容を掲載してしまった場合、罰則の対象となってしまうので、十分注意しましょう。
事前にガイドラインをよく確認しておくことをおすすめします。
動物病院として売り上げを増やしていくにはどうすれば良いのでしょうか。以下のような方法があります。
来院単価が高ければ、それだけ売り上げにつながりやすくなります。ただし、診療費が高いと評判が下がってしまうため、飼い主が納得できるような金額設定を目指すことが重要です。
他院にはない強みを持ち、質で勝負できるようになれば来院単価を上げても不満やクレームにつながりにくくなります。
単価を上げるのが難しかったとしても来院件数を増やせれば売上は増えます。集客に力を入れ、新規顧客の獲得を目指しましょう。
口コミでの評判も新規顧客獲得と大きく関係しているので、良い口コミを寄せてもらえるようなサービスを提供することが重要です。
新規顧客の獲得以上に重要といえるのが、リピーターを増やすことです。「困ったことがあったときは毎回ここに相談しよう」と思ってくれるリピーターが増えれば、売り上げが増え、経営が安定しやすくなります。
いかがだったでしょうか。動物病院の集客について紹介しました。重要性や具体的な方法がご理解いただけたかと思います。
集客をする際はマーケティングを知り、できるだけ効果的な形で実践していくことが重要です。