動物病院の開業場所はどこでも良いわけではありません。事前に診療圏調査を行い、動物病院に適切な場所なのかどうか確認する必要があります。また、動物病院を建築できる用途地域を確かめる必要もあるでしょう。
そこで本記事では、動物病院の診療圏調査や建築可能な用途地域、そしておすすめの開業場所について解説します。ぜひ、動物病院の開業場所を選ぶ参考にしてください。
1日あたりにどのくらいの来院数が見込まれるのか把握するため、動物病院を開業する際、診察圏調査を行います。
診察圏調査では“どこで開業するのか”という評価指標となるため、以下のような内容の調査を行う必要があります。
それでは、診察圏調査の内容について確認していきましょう。
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動物病院へ来院してもらえる範囲のことを商圏範囲と呼びます。動物病院の商園範囲は、車で10分~15分の範囲に住んでいる70%の飼い主様の来院が予想されます。
コストを抑えたいからといって地方を選んだり、成功するためにも都会を選んだりではなく、動物病院を開院するにあたって適した場所を探すことが重要です。
地域の特性を分析するポイントは以下の通りです。
なお、一戸建てやペット可の物件が多くても、ペットを飼育できる人が少ないと集患に苦戦するので注意しましょう。
開院しようと考えている立地に動物病院がある場合、以下のような項目を踏まえてかかりつけ医を決定します。
競合の動物病院よりもすべての内容が上回るように開業するのは至難の業です。したがって、競合相手と比べて優れている点と劣っている点を調べ、総合的に判断することが必要不可欠です。
少子高齢化の影響で、2008年をピークに人口が減少しています。開院時には十分な人口がある地域でも、廃業までの期間一定数の集患が見込めないかもしれません。そのため、検討している地域の将来性についても詳しく調査する必要があります。
動物病院はどこにでも建築できるわけではありません。法律上、動物病院が建築できる場所は以下の用途地域です。
なお用途地域とは、都市や地域の土地利用を最適化し、理想的な街づくりを実現するために土地の用途や利用目的に応じて詳細に指定・規制した制度のことです。
都心部で動物病院を開業する場合、人口の減少による影響は受けにくいといえます。
一方で、患者を集めることが難しい可能性も考えられます。都心部では競合病院が多く、成功するには差別化が不可欠です。また、すぐ近くに他の動物病院が点在している場合もあり、独自性を確立する必要があるでしょう。
郊外で動物病院を開業する場合、最初は好調でも将来的には経営が厳しくなる可能性が高いことを覚悟する必要があります。地域外からの患者を引きつけて知名度を高めることができない限り、将来的なリスクが高まるといえるでしょう。
イニシャルコストを最小限に抑え、事業の承継を考慮したビジョンを持つことが大切です。つまり一代限りでなく、長期的な経営を続けるための計画が求められます。
動物病院のおすすめの開業場所は以下の通りです。
それぞれの開業場所について確認していきましょう。
自宅や実家近くなど縁がある地域では、院長自身や家族、古くからの友人や知人などの地元の人々からの通院や口コミによる紹介が期待できます。また、地域コミュニティにおける信頼と繋がりは、動物病院においてメリットといえるでしょう。
以前、勤務していた病院の近くで開業した際、診察を担当していたペットの飼い主が通ってくれる可能性が期待できます。
ショッピングモールやスーパーマーケットなど大勢の人が集まる施設が近くにある場合、多くの人々が通るエリアで動物病院が目に留まりやすくなります。そして「ここに動物病院がある」と知名度を高めることで、ペットを病院へ連れて行くきっかけとなるでしょう。
飼い主が動物病院へペットを連れて行く際、自家用車を利用する方が多いといえます。また、飼い主が女性であることを考慮すると、アクセスしやすい場所を選ぶことが大切です。
アクセスの便を確かめるために、実際に車や徒歩でさまざまな経路を試し、患者の視点で調査してみましょう。
また、動物病院に来院する多くの人が車を利用するため、物件に駐車場があることが理想的です。駐車場の利便性、入出庫のしやすさなども実際に体験し、検討することが重要なポイントです。もし駐車場がない場合、近隣に月極駐車場やコインパーキングがあるかどうかも必ず確認しましょう。
今回は動物病院の診療圏調査や建築可能な用途地域、そしておすすめの開業場所について解説しましたが、いかがでしたでしょうか。
動物病院の場所を決めるには、事前に診療圏調査を行い、建築可能かどうか用途地域を確認する必要があります。そして、さまざまなコンセプトを踏まえ、開院場所を選定することをおすすめします。