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 動物病院の平均売上と効率的に利益拡大を目指すためのポイント 

公開日 2023.10.26 更新日 2023.10.30

動物病院の平均売上と効率的に利益拡大を目指すためのポイント

動物病院を開業して運営していく以上、十分な売上を確保することについてよく考えておかなければなりません。ですが、具体的にどうすれば良いのか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

 

そこで、動物病院の売上拡大を目指す方法を知りたい方のため、押さえておきたいポイントを解説します。この記事を読むことによって動物病院の平均売上や、売上を上げる方法がわかるようになるので、ぜひ参考にしてみてください。

動物病院の平均売上は?

動物病院の平均売上はどの程度なのでしょうか。大阪フレンドロータリークラブによると、年間の総売上は1,000万~5,000万程度、平均すると3,000万ほどとされています。(※)

 

中には売上額が1億円を超えるようなケースもありますが、それほどの売上を目指すためには、ある程度の年数も必要になるでしょう。まずは平均値である3,000万円の売上を目指し、動物病院の開業に取り組んで行くことをおすすめします。

 

※参考:大阪フレンドロータリークラブ:2012-2013年度 活動報告

売上の構成

売上は、以下の公式によって構成されています。

 

売上=来院者数×来院単価

 

つまり売上拡大を目指したいのであれば、来院者数を増やすか、来院単価を上げるかについて考えなければなりません。また、来院者数が同じだったとしても来院頻度を上げることによって同様に来院者数を上げることが可能です。

 

もちろん、利益率ばかりを追求して不要な来院を促したり、必要以上に客単価を上げてしまったりすると逆効果になってしまうため、注意が必要です。

動物病院の売上に関する課題

動物病院は、ただ開業するだけで売上が伸ばせる状況とはいえなくなっています。これには、以下のような課題が関係しています。

課題①動物病院の開業数増加

動物病院の開業数が増えるほど飼い主が通う動物病院の選択肢が増えるため、利益の確保が難しくなってしまいます。

 

農林水産省によって令和元年に発表された資料によると、小動物診療獣医師数は、近年一貫して増加と報告されました。(※1)
小動物診療獣医師が増えているということは、それだけ動物病院も増えていることを意味しています。

 

実際に、農林水産省が発表している飼育動物診療施設の開設届出状況を見てみると、以下のように推移しています。

 

■都道府県別飼育動物診療施設の開設届出状況の合計(小動物、その他)の推移

  • 令和4年:12,616件
  • 令和3年:12,435件
  • 令和2年:12,247件
  • 令和元年:12,116件
  • 平成30年:11,981件

この5年間を見るだけでも徐々に数が増えていることがわかります。なお、さらに過去の平成17年を見てみると、9,482件でした。(※2)

 

動物病院の選択肢が少なければ、その中から選ばなければなりません。ですが、現状は多くの選択肢がある形となっているため、大切なペットを抱える飼い主の方々はより品質やサービスなどにこだわって動物病院選びができます。

 

非常にライバルが多い状況であるのは大きな課題といえるでしょう。

 

参考:(PDF)公益社団法⼈ ⽇本獣医師会:小動物獣医療の現状と今後の対応[PDF]

参考:農林水産省:飼育動物診療施設の開設届出状況(診療施設数)

課題②ペットの減少

動物病院の数が増えていたとしても、それに伴ってペットも増えていれば大きな問題にはなりにくいです。ですが、ペットの数は減少を続けています。

 

一般社団法人ペットフード協会によると、令和4年の全国犬猫飼育実態調査では、犬が7,053,000頭、猫は8,837,000頭で、推計飼育頭数全国合計は15,890,000頭でした。過去10年間と比較してみると犬の新規飼育頭数は増加したものの、猫は減少、飼育率については横ばいとの結果です。また、新規飼育以降は低下が続いていると発表しました。

 

また、2021年の犬猫の年代別現在飼育状況では、5年前と比較してすべての年代で飼育率が低下しています。
注目したいのが、犬猫の年代別今後の飼育意向です。こちらも全年代で5年前よりも低下しているため、今後もペットの減少は続いていくのではないかと予想できます。

 

動物病院の数が増え続けている一方、飼育頭数が減り続けているのは大きな課題です。

 

参考:(PDF)一般社団法人 ペットフード協会:2022年(令和4年)全国犬猫飼育実態調査 結果[PDF]

課題③人手不足

人手不足が問題も挙げられます。これは、獣医師の半数ほどが女性であることが理由です。女性は結婚や子育てなどで仕事を離れてしまうケースが多いため、動物病院では人手不足の問題に悩んでいるところが少なくありません。

 

また、男性も30代後半あたりから勤務医ではなく開業医を目指すことが多く、勤務医不足の状況になっています。

動物病院の売上を上げる方法

動物病院を開業するにあたり、売上拡大を目指したい、将来的には利益率を上げて売上1億円を目指したと考えた場合、どのような方法があるのでしょうか。
以下の3つの方法が代表的です。

方法①来院単価を上げる

まず考えたいのが、来院単価を上げる方法です。そのためには、他の動物病院と差別化を図らなければなりません。
単純に診療費や餌代、ケア代などを上げてしまった場合、他の料金が安い動物病院に移られてしまう可能性があるからです。

 

「料金が高くてもこの動物病院が良い」と思ってもらわなければなりません。動物病院は溢れている状況なので、他の動物病院にはないような強みを持ち、それをしっかりアピールしていくことが重要です。

 

結果的に単価アップに繋がるでしょう。一方で差別化の内容によっては人件費の方が高くついてしまうこともあるため、注意が必要です。

方法②来院者数を増やす

たくさんの飼い主から選ばれる動物病院になれれば、自然と来院者数が増えます。まずは、開業する動物病院を選択肢の一つとしてもらうため、認知度を高めなければなりません。

 

そのために効果的なのが宣伝です。広告などをまく活用し、認知度を高めていきましょう。

方法③リピーターを増やす

新規顧客獲得ができたら、リピーターにつなげていくことが重要です。多くの方は初回の診療に納得、満足した場合に「次もここで診てもらおう」と考えます。
例えば、スタッフや獣医師の対応が良かった、病院が清潔だったなどの理由です。

 

新規顧客は獲得できているもののそれがリピーターに繋がっていないという状況であれば、対応や診療内容に何らかの問題がある可能性を疑う必要があります。

動物病院の売上を上げる施策

動物病院の売上拡大を目指すためには、さまざまな工夫が必要になります。代表的な方法について5つ紹介します。

施策①業務を効率化する

現在、効率が悪いと感じている業務がある場合は、効率化を目指しましょう。効率化ができれば、人件費を節約することも可能です。
人件費が高くついている場合、いくら来院者数を増やしたり、来院単価を上げたりしても利益率が低くなってしまいます。

 

関連記事:動物病院の人件費の目安はどれくらい?効果的な方法で最適化

施策②チラシを配布する

チラシを配布し、認知度を高めましょう。新規顧客が少ないと感じているのであれば、そもそも自院の認知度が足りていない可能性が高いです。
どれだけ良い診療やサービスを提供していたとしても、まずは自院に足を運んでもらわなければ始まりません。

 

チラシの配布は昔ながらの方法といえますが、特に高齢の方などはインターネットを使った情報収集よりもアナログな方法を選択することがあります。
注意点として、ペットを飼っているご家庭に対してチラシを配布することが重要なので、ポスティングでは効率が悪いといえるでしょう。ペットショップや、ドッグランの受付などで配布してもらうことをおすすめします。

施策③SNSを運用する

若い方を中心にSNSの利用者が多く、情報収集として活用されています。単純に自院の宣伝として使用するだけではなく、日頃から飼い主にとって役に立つ情報を発信しているアカウントはフォロワーが増えやすいです。
何かあった時に頼りになる動物病院といったイメージを持ってもらうことができます。

 

TwitterやInstagram、Facebookなどさまざまな選択肢があるので、自院をよりアピールできるものを選択しましょう。複数のSNS運用も良いのですが、更新ができず放置してしまうとマイナスの印象を与えてしまうため、運用できる範囲で実施することが重要です。

施策④ホームページを充実させる

気になる動物病院が見つかったら、ホームページを閲覧してさらなる情報を収集する方が多いです。そのため、ホームページの内容を充実させましょう。

 

どのような治療を行っているのか、何の相談ができるのか、強みは何かなどを伝えるのに効果的です。
また、ホームページを充実させることはSEO対策になり、検索エンジンでの上位表示を目指すことにもつながります。

 

検索から自院を知ってもらうことも可能なので、SEO対策にも力を入れておきましょう。

施策⑤ポータルサイトに掲載する

特に開業したての頃はまだまだ知名度が低いので、ポータルサイトをうまく活用して認知度を高めることをおすすめします。

 

ポータルサイトでは、ペットに適した動物病院が検索可能です。ただ、ポータルサイトに情報を掲載してもらう場合は費用がかかってしまうので、どの程度の費用がかかるのかは事前に良く確認しておきましょう。

 

費用対効果が見合っていないと感じる場合は、その他の宣伝に力を入れるなどして見直していく必要があります。またはある程度ポータルサイトで新規顧客を獲得してリピーターにつなげ、リピーターが増えてからポータルサイトの掲載を取りやめるといった方法も効果的です。

さまざまな方法で売上拡大が目指せる

いかがだったでしょうか。動物病院の平均的な売上や、売上を伸ばしていくためのポイントについて紹介しました。どういった形で取り組んでいけば良いのかご理解いただけたかと思います。
さまざまな方法があるので、できることはすべて行っていきましょう。

 

ランタックでは新規開業支援に取り組んでおり、動物病院の新規開業を総合的にサポートしています。導入する医療機器の販売や設置も行っているので、開業について困っていることなどあればご相談ください。

 

動物病院新規開業支援の有限会社ランタック