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 動物病院を開業した獣医の年収は?開業医以外の獣医と比較 

公開日 2023.09.21 更新日 2023.10.02

動物病院を開業した獣医の年収は?開業医以外の獣医と比較

獣医の勤務医として勤務していても、自分の動物病院を開業したいと考える人は多いでしょう。また、気になるのは開業した場合の年収でなないでしょうか。

 

そこで本記事では、開業した獣医師の年収と開業以外の勤務医の年収、そして、動物病院を開業したタイミングや開業方法について説明します。

開業した獣医の年収

獣医は高収入だと思われがちな職業です。理由としては、ペットの診察料の高さがその要因となっている場合もあるでしょう。

 

しかし獣医は、診察料を自由に決定できる「自由診療」です。したがって、国からの補助がほとんどなく医師ほど稼ぐことは難しいのが現状です。

経営次第では年収3,000万円以上

動物病院は経営次第では3,000万円以上の年収になることもあります。ただし、一般的には年間の売り上げが3,000万円程で、人件費や経費などを差し引くと院長の収入は1,000万円程だといわれています。

 

なお、近年では動物病院でも診察の細分化が進み、眼科専門や皮膚専門など、専門の治療を差別化することによって大きな収入となっている獣医も存在しています。

一般的なサラリーマンとの比較

国税庁の令和3年の民間給与実態統計調査によると、世代別のサラリーマン男女の平均年収は以下のようになっています。

  • 30~34歳 412.5万円
  • 35~39歳 448.8万円
  • 40~44歳 479.9万円

参照:国税庁|民間給与実態統計調査

一方で、動物病院の開業は経営が軌道にのるまでは赤字になる可能性がありますが、数年後には一般的なサラリーマンの年収の2倍の年収が期待できます。

開業医以外の獣医の年収

開業医以外の獣医は以下の通りです。

  • 開業医以外の獣医の年収
  • 動物病院の勤務医の年収
  • 動物園の勤務医の年収

それぞれの獣医の年収について確認していきましょう。

動物病院の勤務医の年収

動物病院の獣医師の年収ですが、医師なので高額だと思われているようです。しかし、獣医師の初任給では月収で20万~23万円、年収では300万~350万円程が一般的です。

 

また、年齢別では50代の年収が高くなり、700万~900万円といわれています。

動物園の勤務医の年収

動物園獣医師の平均年収は400万~450万円程で、平均月収30万円前後となっています。一般的な医師と比較すると、やや高い収入水準にありますが、仕事は基本的に動物のスケジュールに合わせる必要があり、長時間の労働になる場合も少なくありません。

 

そのため、動物園の勤務医は動物好きであるだけでなく、対応できる体力も求められるでしょう。

JRAの勤務医の年収

JRA(Japan Racing Association|日本中央競馬会)の獣医師の平均年収は650~1,200万円程と、他の獣医師と比較して高い収入水準にあります。高い給与の背後には、JRAが日本政府からの資本支援を受けているためです。

 

しかし、JRAの獣医師の採用枠は毎年5~6名程しかなく、JRAへの獣医師としての就職は狭き門といえるでしょう。

動物病院を開業するのに適した年齢

動物病院を開業するには、3,000万~4,500万円程の資金が必要です。そのため、融資が通りやすい30〜40代が開業する年齢に適しているといえます。

 

なお、資金調達には以下のような方法があります。

  • 日本制作金融公庫

政府が出資している金融機関なので、銀行からの資金調達が難しい企業でも融資が可能です。新規開業資金の融資限度額は7,200万円、その内運転資金は4,800万円となります。返済期間は設備投資に関しては20年以内、運転資金は7年以内となっています。

 

参考:新規開業資金|日本制作金融公庫

  • 制度融資

制度融資は、金融機関や地方自治体、信用保証協会の協力によって行われている制度です。例えば、東京都中小企業制度融資『創業』では、融資限度額が3,500万円です。返済期間は設備投資に関しては10年以内、運転資金は7年以内となっています。

 

参考:東京都中小企業制度融資『創業』|融資助成・制度

  • 金融機関からの融資

金融機関では、新しい事業の開業資金の融資を受けることが可能です。しかし、具体的なビジネスプランを提出し、必要に応じて保証人を指定したり担保を用意したりする必要があります。

 

なお、過去に金融トラブルがある場合では、融資が認められない可能性もあるため注意してください。

資本金の目安

前述のように動物病院の開業に必要な資本金は、3,000万~4,500万円が必要とされています。内容は以下の通りです。

  • 医療機器・器具
  • 不動産の費用
  • 内外装のリフォーム費用
  • 広告宣伝費
  • 運転資金

 

関連記事:動物病院の開業資金は?資金調達の方法や必要書類を紹介

黒字になるまで時間がかかる

動物病院を開業する場合、初年度は高額な初期投資が必要であることや、売上が安定しづらいため1年間の収支は赤字になる可能性が高いといえます。また、開業後最初の2年は赤字になる可能性が高く、黒字となるのは3年目以降が一般的です。

 

ただし、これらは一般的な傾向であるため、事業者の経営能力や地域・市場の状況によって異なる場合もあります。

新規開業と承継開業

勤務医の平均年収は、厚生労働省の調査によると550万~650万円となっています。

 

そして新規開業した院長の平均年収は1,000万円です。しかし継承開業の院長になった場合、規模によって異なりますが1,500万~3,000万円が年収となっています。

開業したら3年間は耐えましょう

今回は、開業した獣医師の年収と開業以外の勤務医の年収、そして、動物病院を開業したタイミングや開業方法について説明しましたが、いかがでしたでしょうか。

 

動物病院を開業するにあたって高額な費用がかかります。そのため、開業してから3年間の収入は勤務医より下がるケースも少なくありません。

 

最初は険しい道のりかもしれませんが、3年間は年収1,000万円以上を目指して頑張ってください。

 

動物病院新規開業支援の有限会社ランタック