動物病院の開業を考えた際、悩んでしまう方が多いのが、電子カルテの導入についてです。
「導入した方が良さそうだけれど、デメリットが心配」と感じている方もいるのではないでしょうか。
そこで、導入を悩んでいる方のため、電子カルテによってどのようなメリット・デメリットがあるのか解説します。この記事を読むことによってそもそも電子カルテとは何かといった基本からカルテ管理に役立つITツールまでわかるようになるので、ぜひ参考にしてみてください。
現在は電子カルテに切り替える病院が増えてきましたが、そもそも電子カルテとは何なのでしょうか。電子カルテとは、従来、紙で作成されていたカルテをデジタルデータにしたもののことをいいます。パソコンなどを使って管理する形となります。
電子カルテと紙カルテには、以下のような違いがあります。
電子カルテ |
紙カルテ |
|
メリット |
|
|
デメリット |
|
|
電子カルテは紙カルテより費用がかかることや、操作に慣れるまで苦戦することがあるといったデメリットがあることに理解が必要です。ただし、導入が済んでからは業務効率が良くなるほか、保管場所が必要ないといったメリットが大きいといえます。
必要な情報をすぐに取り出すことも可能です。電子カルテの詳しいメリット、デメリットは以下で紹介していきます。
電子カルテの導入により、さまざまなメリットが得られます。ここでは、代表的なメリットについて解説します。
紙カルテの大きな問題である診療情報へのアクセスの問題が、電子カルテによって解決します。紙カルテの場合、情報を探すのにかなりの時間がかかってしまうこともありました。
特にたくさんの患者を抱える動物病院の場合、数年前に一度来院しただけの方の記録を探すのに手間取ってしまうこともあります。
また、よくあるのが紙カルテに手書きで書かれた情報が読み取れない問題です。忙しい時期などは雑に書いてしまうケースも多く、後から必要な情報が読み取れないこともあります。
ですが、電子カルテであればそういった心配もなく、検索も簡単に行えるのが大きなメリットです。患者さんの情報を棚から探し出す必要もありません。カルテの管理に関する手間も減るので、スタッフの負担軽減にもつながるでしょう。
紙カルテの場合、破損や紛失といったリスクがあります。カルテ自体がなくなってしまえば診療に関する情報が失われてしまうことになるので、大きな問題です。
ですが、例えば火事や洪水、地震による建物の倒壊など、普段から適切に紙カルテを管理していたとしてもなかなか防げない問題もあります。
電子カルテであれば、データは電子化されて保存されることになるので、破損や紛失といったリスクはほとんどありません。クラウド上にデータを保存するものであれば、仮に電子カルテの作成に使っていた端末が壊れてしまったような場合でも影響しないのが大きなメリットです。
電子カルテの導入を悩んでいる方の中では、コストの問題を心配している方も多いのではないでしょうか。
ですが、確かに導入・運用コストはかかるものの、大幅な業務効率化に繋がるため最終的には経費削減が期待できます。
例えば、紙カルテやレントゲン写真などを探す時間が必要なくなるので、教務の効率化に繋がるでしょう。また、時間がかかる診断書の作成といったものについてもテンプレートが用意されているものが多く、時間をかけずに行えます。
電子カルテの導入には、メリットだけではなくデメリットもあります。代表的なデメリットを紹介するので、自院にとってそれがどの程度のデメリットに繋がりそうか確認しておきましょう。
本格的に運用できるようになるまでは時間がかかってしまうことがあります。どの程度操作性に優れているかは選択する電子カルテによって異なりますが、難しいものだともなかなか使いこなせず、苦戦してしまうことあるでしょう。
特にITに苦手意識がある方の場合、難しそうといったイメージが強く不安や不満を感じてしまうことも考えられます。ある程度、慣れが必要です。
といっても、多くの電子カルテシステムは誰でも使いこなせるように設計されているので、ほとんどが操作性に優れているといえます。
商品の情報をよく確認し、使いやすいものを選択すると良いでしょう。高機能にこだわったものだと操作が難しい場合があるので、シンプルな機能性のものを選択するのも一つの方法です。
電子カルテはパソコンで使用するため、停電やシステムダウンといったものの影響を受けてしまいます。一時的な停電であればすぐに復旧するケースが多いものの、大規模な災害などで停電が起こった場合、長く続くことも考えられるでしょう。
そのため、普段から一時的に紙カルテに切り替えられるように備えておくことが大切です。電子カルテは非常に便利なものではありますが、紙カルテに関する知識が全くないと切り替えができず、停電時に困ってしまうことがあります。
ただ、ほとんどの電子カルテはマルチデバイス対応となっています。自院のパソコンが使えなくなってしまったとしても、インターネットに接続されているタブレットやスマホから利用できることもあるので、停電時はそういったシステムが利用できるように整えておくのも良いでしょう。
導入にあたり費用がかかることや、月々の利用料金としてランニングコストがかかるのはデメリットです。定期的に更新をしたり、ハードウェアのメンテナンスを行うのに費用がかかってしまったりすることもあります。
どの程度の費用がかかるのかは、導入するシステムによって大きく異なるので、よく確認しておきましょう。中には格安のものもありますが、機能性やサポートが充実していない可能性もあるため、費用だけで選ぶことはおすすめできません。
まずは自院で必要な機能を見極め、その他の機能があまり入っていないものを選択すると良いでしょう。機能性の高いものはどうしても費用も高くなることが多いため、注意が必要です。
動物病院で選択できる電子カルテといっても、さまざまな種類があります。そこで、電子カルテを選ぶ際に押さえておきたいポイントを解説します。
どのような機能を必要としているか、その機能が搭載されているかはよく確認が必要です。ただし、とにかく機能性に優れていれば良いとはいえません。不要な機能が豊富だったり、使いこなせなかったりすれば費用だけが高くついてしまう可能性もあります。
選択するサービスによって搭載されている機能は大きく異なるので、あとから後悔しないためにもしっかり確認しておきましょう。
実際に電子カルテを運用した後のことを考えると、どのような機能が必要になるのか、その機能の優先度はどれくらいかといったことがわかりやすいです。
患者ごとの情報などを適切に管理できるシステムであることも重要です。機能性に優れていても情報の管理が難しいものだとなかなか使いこなせません。
簡単操作で使用できるものを選択すると良いでしょう。ITが苦手な方でも使いこなせるようなものだと良いといえます。
操作性に優れたものを選択しないと使いこなすことが難しく、紙カルテで代用しなければならないようなことも考えられます。
導入にあたり、どの程度の費用がかかるのかを確認し、適切か検討が必要です。初期使用のほか、月額利用料やオプション費用、ネットワーク費用などがかかります。
導入時にかかる費用や、継続してかかっていく費用を明確にし、自院に適しているか確認しましょう。費用が高くて継続が難しくなってしまうと、神のカルテや、他社の電子カルテへの切り替えを検討しなければなりません。この際、時間や費用がかかってしまうこともあるため、注意が必要です。
カルテには顧客の情報が書かれることになるため、セキュリティ対策が万全なものを選択しなければなりません。万が一セキュリティ性に問題があり顧客情報が漏えいしてしまったような場合は、動物病院の存続にも影響を与えてしまう可能性があります。
もちろん、自分たちが完全に情報を取り扱うための方法についてよく理解しておくことも重要です。
動物病院でのカルテ管理におすすめのITツールを5つ紹介していきます。カルテ管理に役立ててみてはいかがでしょうか。
テキストだけではなく、写真やファイルといったものも添付して保存できるツールです。シンプルなシステムが特徴的なので「電子カルテを導入したいけれど、IT分野に苦手意識を持っている」といった方にも向いています。
チームの情報のストックができるようになっているため、チャットツールによくある内容が流れてしまう問題や、ファイル管理が面倒といったこともありません。チーム情報のストックや手軽なタスク管理、メンバー間でのメッセージのやりとりが手軽に行えるツールです。
パソコンだけでなく、スマホやタブレットからも利用ができます。スマホやタブレットで撮影した写真もストック可能なのが特徴です。また、誤削除防止機能が搭載されているため、間違って削除してしまった場合もデータは30日間保存されています。
動物病院向けとして開発されたツールです。使いやすさにこだわりがあり、iPadからでも利用できます。
iPadの情報はパソコンとリアルタイムに連動するのも便利です。専用のサポートセンターが常設されているので、導入してみたものの操作などでわからないことがあるといった場合も問い合わせしやすいでしょう。リモート操作でのアドバイスも受けられます。
標準機能として搭載されているのは、顧客情報管理や院内状況管理などの顧客管理機能、診療明細発行、保険請求書類作成などの会計機能です。また、病院の売上情報を管理することもできます。オプションでは、電子カルテのほか、血液検査機器連携、着信顧客表示、待ち順表示、外部検査連携、レジ連携が利用可能です。
使いやすさや使い勝手にこだわった機能が特徴的です。電子カルテのほかには、顧客管理や外来・入院・手術の受付状況・履歴一目で把握できる機能、検査・会計関連の機能などが搭載されています。
他にも薬袋印刷やCTI電話着信表示など、オプションでさらなる機能を加えることも可能です。
電子カルテは、受付、診察、検査、調剤、会計と、流れに沿ってデータが連動します。顧客管理では、次回の来院予定日からDMを送ることも可能です。
磁気カード診察券とタッチパネルを組み合わせた自動受付システムもオプションで利用できます。診察券をカードリーダーに読み込ませて、飼い主が自身で希望している診察を選択、受付する形となるので、受付の手間も省けます。
簡単操作のクラウド型顧客管理会計システムです。ブラウザに表示させて利用できるので、据置のパソコンのほか、タブレットなど病院の現場に合わせた形で運用できます。
薬剤処方はタッチ操作で行えるので、難しい操作が苦手な場合にも向いているでしょう。カルテ管理や会計処理、証明書/処方箋発行、薬剤処方管理、DM作成、マスターデータ管理、売上情報の出力が標準機能として搭載されています。
この他にオプションが利用可能です。例えば、ペット保険レセプト対応では保険金額の自動計算のほか、承認番号の自動取得、レセプト請求書の作成、レセプト請求書の自動送信といったものが利用できます。
他にも対応検査機器から、血液検査結果データを取り込んで行う血液検査機器連動などもオプションで選択できます。
電子カルテだけではなく、付加価値機能にも拘っています。動物病院にペットオーナーを送る、動物病院とペットオーナーの絆を強化する、動物医療の品位標準化を実現するといった3つを目指して開発されました。
代表的な機能は、薬の投与量・力価計算補助機能診療記録、自動受付などです。経営診断レポートも用意されているので、自院の売上情報の分析レポートを確認して経営状態を見える化できるのも特徴です。
お呼び出し機能・滞在時間短縮が用意されているので、飼い主は病院外で待つこともできます。待ち時間が長くなってしまい、それが理由で評価が下がってしまうのを防ぐことにもつながるでしょう。
飼い主の方に対し、メッセージで個別アプローチもできます。来院促進にも活用できるサービスです。
関連記事:動物病院が抱えやすい経営課題は?問題解決のために取り組みたい施策
いかがだったでしょうか。動物病院で電子カルテを導入するメリットやデメリットについて紹介しました。一般的にはメリットのほうが大きいですが、自院の場合はどちらが大きくなりそうか検討が必要です。
電子カルテの導入で悩んでいるのであれば、ランタックまでご相談ください。動物病院の新規開業をサポートしており、これまでにも開業の支援実績があります。開業に必要になる医療機器の販売も行っているので、幅広い支援が可能です。